ケシ科の植物
 ヤマブキソウの大型で山吹色の花は、ヤマブキの花が地面に落ちたと思うほどの印象を与えます。ヤマブキソウの含まれるケシ科は、薬草として使用される植物を多く含みますが、花も良く鑑賞され、有用な植物群です。園内で見ることのできるれるケシ科の植物を集めてみました。なお、ケマンソウの仲間(ケマンソウ、ジロボウエンゴサク、ムラサキケマン)などは、別にケマンソウ科を立てる見解もあります。
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[石標12~52の間 10.05.06 撮影]
ヤマブキソウ(山吹草)
Hylomecon japonica (Thunb.) Prantl et Kündig
 本州から九州まで、山野の林内に群生する多年草。草丈は30cmになります。クサノオウ属(Chelidonium )に分類されることもあります。

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[石標22~23の間 10.05.10 撮影]
セリバヤマブキソウ(芹葉山吹草)
Hylomecon japonica (Thunb.) Prantl et Kündig f. dissecta (Franch. et Sav.) Okuyama
 ヤマブキソウの変種で、葉はその名の通り細かく羽状に細裂します。
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[駐車場 09.05.11 撮影]
クサノオウ
Chelidonium majus L. subsp. asiaticum H.Hara
 北海道から九州まで分布する2年草です。切ると黄色の乳液を出すため、これを「草の黄」とする説と、この乳液を漢方薬として幅広く利用するため「草の王」とする説がありますが、定かではありません。乳液は毒性があるそうなので、あまりさわらない方が良いでしょう。
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[駐車場 10.05.10 撮影]
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[ロックガーデン 10.05.17 撮影]
オサバグサ(筬葉草)
Pteridophyllum racemosum Siebold et Zucc.
 深山の林床に生える多年草です。独特の葉の形状を機織りに用いる道具「筬(おさ)」に例えたものです。分布は本州中部以北。
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[ロックガーデン 10.05.17 撮影]
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[那須塩原市 10.04.30 撮影]
ムラサキケマン(紫華鬘)
Corydalis incisa (Thunb.) Pers.
 日本全土に分布する2年草です。どこでも見かけ、少し湿った林内や林縁に生えます。ケマン(華鬘)とは、仏堂を飾る仏具の一種のことで、お堂の天井などから吊されています。
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[那須塩原市 10.04.11 撮影]
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[石標71付近 10.05.13 撮影]
ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.
 小さな植物で見逃しやすいですし、ムラサキケマンと似ているので見間違える方もいるかも知れません。ムラサキケマンよりは花は大型で、つける数は小さく、葉の切れ込みも少ないので、区別が付きます。ジロウボウとは、距を交差して引き合う子供の遊びにおいて、よく使うスミレをタロウボウとし、この植物をジロウボウと呼び習わしたことによると言います。
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[石標71付近 10.05.13 撮影]
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[庁舎脇 09.05.08 撮影]
ケマンソウ(華鬘草、別名:タイツリソウ(鯛釣草))
Lemprocapnos spectabilis (L.) Fukuhara
 中国や朝鮮半島から渡来した園芸植物です。別名のタイツリソウは、花を釣り上げた鯛に見立てたもの。華鬘をそれとして見ることが少ない現代では、こちらの方がしっくり来る名前かも知れません。なお、以前は高山植物のコマクサと同じ属(Dicentra)とされていましたが、現在は別属とされています。